コールセンターはなぜ通話録音をアナウンスするのか?
企業のコールセンターなどへと電話すると「最近増えたな」と感じるものがあります。「サービス向上のため、会話の一部を録音させて頂きます」という音声ガイダンスです。どのような意図で録音をアナウンスするのでしょうか。

通話を録音している理由
皆様も、どこかのコールセンターへ連絡したことがあるなら聞いたことがあるのではないでしょうか。この通話音声録音は、実は以前から行われており、最近始まったものではありません。では、どうして音声ガイダンスを流して、録音していることをアナウンスしはじめたのでしょうか。
それは、訴えられた時の対応という側面と、不適切な案内を行った時の聞き直しを実現するために行われています。しかし、それ以外にも音声ガイダンスで録音することを事前にアナウンスするのには理由があります。録音していることを宣言するのは、ある意味があるのです。
アナウンスはどんな状況で有効なのか?
録音している旨をアナウンスするのは、どのような状況に対して効果があるのか、それは、モンスタークレーマーと呼ばれる人たちからの着信時です。つまり、コールセンターへトラブルを持ち込み、何かしらの譲歩を引き出そうという人です。例えば、商品を安く買えるクーポンを要求したり、その他、粗品やコールセンターへの通話料を要求する、製品やサービスには全く問題ないのに返金の要求をするものです。
他にも、オペレーターが不快となるような言葉を発するものがあります。よくありがちなものとしては、大きな声で怒鳴ったり、性的な発言を行ったりするものです。脅し文句が飛び出してくることもあり、「社長を出せ」「消費者センターに連絡するぞ」といったものが挙げられ、件数が少なくてもオペレーターにとって大きなストレスになります。
その他、コールセンターが扱う内容とは全く関係のない話題だけを長時間一方的に話す、自分が会話したいオペレーターにつながるまで何度も電話をかけては切る、という事例があります。
残念ですが、こういった人は少なからず存在し、様々な場所に出没し、迷惑を掛けています。そのため、毅然とした態度で対応するため、しっかりと音声を録音していることを宣言し、何かあった時にはこの音声を証拠利用することも辞さないという意思表示なのです。
こうしてモンスタークレーマーをコールセンターから遠ざけ、不要なクレームや通話時間、ストレスを減らすことに貢献します。
コールセンターにとっては大きなメリット
クレームや通話時間が減少すればオペレーターの負担は減り、より良い仕事ができます。その上、自分の誠実な対応が証拠として録音されているという安心感を得ることができます。それと同時に、録音されているからしっかりとした対応をしなければならない、という緊張感を維持することもできます。
コールセンターは離職率の高い業界と言われていますが、コールセンターにとってはオペレーターに安心して働いてもらうことができるので、離職率の低下に貢献し、利益につながります。モンスタークレーマーを遠ざけるのと同時に、自社のオペレーターを守ることができるのです。
オペレーターだけでなく、コールセンターに問い合わせを行う「通常のお客様」も守ることができます。クレーマーからの電話は長時間の通話になりがちで、本当に問い合わせをしたい方がお話中となるかもしれません。何度電話をかけてもコールセンターにつながらないとなれば、困りごとを解決できなくなります。困っているのに電話が通じないとなれば、二次クレームの発生や、他社の利用を検討するなど、お客様が離れてしまう原因ともなります。
また、「言った」「言わない」の問題が発生した際も録音を確認できます。あらかじめ録音されていることを知らせておけば、「断りもなく勝手に録音していた」と思われません。「録音された音声を確認しました」と伝えることが可能となり、第三者に対しても確実な証拠として認識してもらうことができます。
会話内容を正確に把握できなければ、コールセンター側に非があっても誠実な謝罪をすることが困難となるので、通話内容の録音はもはや必須と言って良いでしょう。
オペレーターの教育に役立つ
「サービス向上のため、録音しております」というアナウンスの通り、コールセンターではその応対内容をチェックし、正確な案内ができているか、言葉遣いなども含めて品質向上に使われています。
特に新人オペレーターに関しては、スーパーバイザーなどが頻繁にチェックしていることが多く、一人前に成長する過程で活用されています。
- 「もう少しゆっくり話そう」
- 「こういう言い方をすればわかりやすい」
- 「二重敬語になっている」
- 「伝える情報が間違っている」
このような、具体的な指導を行うことができます。横で聞いているだけでは、指導しようとした内容を忘れてしまうことがあるのです。
また、新人オペレーターに録音内容を聞かせる、というコールセンターもあるようです。実際の応対内容を聞いてもらい、あらかじめ言い回しを学んだり、どのような質問をされるかなどが予習できるのです。
新人教育だけでなく、オペレーターの定期的な評価にも使われるケースがあるようです。
自宅の通話を録音するメリットもある
コールセンターだけでなく、自宅にある固定電話の通話を録音するメリットがあります。例えば振り込め詐欺への対処です。ただ単に録音するだけでなく、受話器を上げるだけで「この電話は録音されています」という旨のアナウンスが流れるシステムも出ており、主にご年配の方が使うように販売されているようです。
近年、固定電話を使用する機会は激減し、いたずら電話などもすっかり減りましたが、振り込め詐欺以外にも、例えばしつこい営業電話や、意図的な無言電話などへプレッシャーを与えることができます。たまにしか使わない電話であっても、安心して利用できます。何か問題が発生した際、どのような会話を行ったのか確認できるので、離れて暮らす家族にとっても安心です。